年間多くのお客様の住宅購入に関する相談に乗っています。タケです。
今回は住宅を購入する上で関係してくる不動産登記について解説していきます。
登記って一生のうちに何度もあることではなく、実際に体験する機会も少ないと思います。
そんな少ない機会の1回が住宅の購入です。一般的には司法書士や家屋調査士に行ってもらうことが多いので、自身で行う方は少ないと思いますが大切なお金に関することになるので、内容を理解しておきましょう。
この記事を読んでいただければ、登記に関する費用を抑えられたり、登記によるトラブルの回避などに繋がります。
登記とは
不動産登記について知る前にまずは登記について知ってください。
「登記」とは権利関係を公に明示するための制度です。
不動産の登記だけではなく、会社などに関する商業や法人登記のほか船舶登記、成年後見登記など様々なものがあります。
法務局で手続きを行うことで登記することが出来ます。
不動産登記とは
登記の中で土地や建物に関する権利関係を明らかにしたものが『不動産登記』です。
現在は登記簿の電子化が行われ、登記記録はコンピューター上で管理されています。ですので登記簿という言い方は『登記記録』といういい方に変わっており、登記簿謄本や登記簿抄本も『登記事項証明書』へ変わっています。
登記については一般に開示されていて誰でも閲覧することが出来、手数料を払えば『登記事項証明書』の発行も可能です。
また登記簿は電子化されているので利用料を払えばインターネット上で閲覧することも可能です。閲覧費用は334円です。
インターネットを使い登記事項証明書の発行を請求することが出来ます。
不動産登記記録の内容と種類
登記事項証明書は一つの不動産ごとに1つ作成され、建物と土地と一つづつ必要です。
不動産の現況を記載する「表題部」と権利関係を表す「権利部」に分かれています。権利部は甲区と乙区に分かれています。
不動産登記で記載される内容
表題部に記載される内容
建物・・・所在、家屋番号、種類、構造、床面積、登記の日付など
権利部甲区に記載される内容
権利部甲区には所有者に関する情報が記載されていおり、いつ、誰が、どんな理由で所有権を取得したかが分かります。
不動産を取得した日付
所有の原因(売買、相続)
権利部乙区に記載される内容
抵当権などの所有権以外の権利に関する情報が記載されています。住宅ローンを組む場合などの銀行の抵当権などはこの部分に記載されます。
不動産登記の種類
不動産登記の種類としては土地や建物の所有者が変わった時の『所有権移転登記』と新しく建物が出来たときの『所有権保存登記』があります。
土地の購入や、中古物件の購入には所有権移転登記が必要になります。所有権移転の登記は相続や贈与によって所有者が変わった場合も必要です。
新築で家を建てる場合には土地の所有権移転登記と、新しく建てる建物の建物表題登記と所有権保存登記が必要になります。
そのほかにも増改築による表題変更登記、住宅ローンの借り入れや完済時に必要な抵当権に関する登記、分筆登記などがあります。
不動産登記に期限はある?
期限がある登記は「建物の表題登記」です。
表題登記は新築時やまだ登記されていない物件を所有した場合は1か月以内に、表題部の登記を行わないといけません。1ヶ月を過ぎて表題部を登記する場合は10万円以下の過料が課せられます。
そのほかの登記については任意となっておりますが、登記をしないと公に権利を主張することが出来まません。
登記していないからと言って固定資産税の支払いが無くなるわけではないので、固定資産税を払いたくないからといって登記しないことは意味がありませんし、トラブルのもとになります。
登記をしないことによるトラブル
登記事項証明書の権利部については登記の義務がないことを説明しました。
しかし、登記しないことで様々なトラブルが発生するリスクがあります。
登記しないことで発生するリスクについて紹介します。
不動産を取得したときに所有権移転登記をしておかないことによるトラブル
不動産を取得しても所有権移転登記をする義務はありません。
しかし、そのままにしておくと自分の権利を公に示すことが出来ず、所有権は売主のままになっています。
その状態で売主が他の人に物件を売った場合、他の人が先に所有権移転登記を行った場合、公には所有権は後から購入した人のものになってしまい、権利を主張することが出来なくなってしまいます。
所有権を取り返すためには後から購入した人の協力が必要になるか、裁判で所有権を取り返すということになってしまいます。
相続したときに所有権移転登記をしておかない場合のトラブル
相続した際に相続登記を行っておかないと後に苦労することになります。
相続から時間が経つと家族が増えて枝分かれし、相続人も増えます。
相続登記には相続人全員の実印が必要になりますし、登記に必要な戸籍や住民票といった書類を集めるのが困難になり、遺産分割協議に大変苦労することになります。
ローンを払い終わったら抵当権抹消登記をしましょう
権利部乙区の銀行の抵当権を外すのが抵当権の抹消登記です。
不動産を売却する際には抵当権の抹消登記が必要になるので、抵当権の抹消をしないまま時間が経つと必要な書類をそろえることが困難になる場合があります。
将来的なことを考えローンの支払いが終わったら、金融機関から届く証明書類をもとに抵当権の抹消登記をしましょう。
登記に必要な費用
登記をするのに必要な費用は土地家屋調査士や司法書士に払う報酬や手数料、それと登録免許税があります。
登録免許税は登記を受けることによって発生する税金です。登記の種類(売買、相続、贈与、抵当権抹消)によって費用が異なります。
登録免許税
登録免許税は
固定資産評価額×税率=登録免許税
で計算されます。
売買時に必要な登録免許税
土地・・・評価額の2%(2021年3月31日までに登記を受ける場合は1.5%)
建物・・・評価額の2%(住宅用家屋を取得した場合0.3%の軽減措置あり)
住宅用家屋の所有権保存登記(新築時)
評価額×0.4%
抵当権抹消登記に必要な登録免許税
抵当権の設定されている土地と建物それぞれにつき1000円
司法書士、土地家屋調査士への報酬や手数料の相場
表題部の登記については土地家屋調査士に依頼し、保存や移転の登記については司法書士に依頼します。
報酬の目安は以下の通りです。
土地家屋調査士への手数料の目安
建物表題登記 8万円位
司法書士への報酬の目安
・相続時の所有権移転登記 6万円~8万円
・売買時の所有権移転登記 4万5千円~6万5千円
・所有権保存登記 2万円~3万円
・抵当権抹消登記 1万5千円~2万円
・住所、氏名の変更登記 1万2千円くらい
出典元:SUUMO
これ以外にも司法書士の交通費や書類作成の関連費は別途かかる場合があります。
登録免許税は明確な基準が決められていますが、司法書士への報酬額は司法書士ごとに決めることが出来るため、価格に開きがあります。
登記費用を抑えるためには
登記の報酬は司法書士ごとに料金を決めることが出来ます。そのため司法書士ごとに報酬金額は異なります。費用を抑えたい場合にはそれぞれ見積もりを出してもらい、比較するとよいでしょう。
不動産会社によっては指定の司法書士を使わないといけない場合があるので、その場合は司法書士を選ぶことはできません。
また、登記は家屋調査士や司法書士にお願いしなくても自分で行うことが出来ます。自分で行えば司法書士への報酬代などを抑えることが出来ます。
登記を自身で行う場合に注意すること
登記には専門的な知識が必要です。
表題登記には建物の図面や平面図が必要になります。自分で行う場合には建物に関する専門的な知識が必要になります。
また法律に関する専門知識も求められます。
売主が本物の売主なのか本人確認をしたり、取引に不法性がないか調べるのも司法書士の役割です。しかし、自身で行う場合はそういったことも自分でしなければなりません。
金融機関によっては、取引の安全性や、遅延なく取引が行われるように司法書士の利用を求められることが一般的です。
不動産を登記するのに必要なもの
最後に不動産を登記するのに必要なものについて紹介して終わりたいと思います。
登記の内容によって準備するものは異なりますが、住宅の購入と注文住宅に必要な表題登記と所有権保存登記、移転登記について見ていきましょう。
建物表題登記
・建物図面
・各階平面図
・建築確認済証
・引き渡し証明書
・印鑑証明書
・本人確認書類(コピー)
・登録名義人の住民票(世帯全員、全部記載)、住所は新居
・委任状(土地家屋調査士が行う場合必要)
所有権保存登記
・登記申請書
・住民票(建物所有者全員分)
・住宅用家屋証明書
・委任状(本人が申請する場合不要)
所有権移転登記(売買時)
・登記識別情報、権利書
・売主(譲る側)の印鑑証明書(発効から3か月以内のもの)
・固定資産評価証明書
・身分証明書
・契約書
・住民票(不動産を取得する人)
・委任状(司法書士にお願いする場合)
以上のようなものがありますが、家屋調査士や司法書士にお願いする場合、家屋調査士や司法書士の方で準備してもらえるものもあります。
不動産登記まとめ
不動産を取得する場合の登記について解説しました。
登記とは公に所有者を明示することであり、『登記記録』は「表題部」、「権利部(甲区)」、「権利部(乙区)」に分かれています。
登記の種類も登記する不動産や、登記する理由により分かれており、土地や建物を売買する場合には『所有権移転登記』が必要で、新しく新築したりしてまだ登記されていない物件を登記する場合には、『所有権保存登記』が必要になることを知っていただきました。
また登記は自身で行い費用を抑えることも可能ですが、その場合は図面や法律に関する専門的な知識が求められます。
詐欺などの被害にあうリスクや、時間と手間がかかります。
銀行によっては取引の安全面から司法書士への依頼を求められることが一般的です。
取引の安全性や専門性、手間や労力を考えると司法書士に依頼せず自身で行うことは、現実的には困難だと思います。
しかし司法書士への報酬額は各司法書士が決めているので、それぞれの司法書士を比較して費用を抑えることは可能です。
一般的には登記の内容まで詳しく理解することは求められませんが、どのような登記があってどんなことをするのか、この機会に少し勉強されても良いいかもしれませんね!?
必要なものだけでも知っていれば、いざ自分が不動産を所得する際にも慌てず準備することが出来ますね!!